ISBN:4840227284 文庫 壁井 ユカコ メディアワークス 2004/07 ¥578

キーリシリーズ5作品目。今回はユカコさんの計らい(ご本人は「何を血迷ったか」と申されてますが)で、上下巻になってます。
下巻は9月10日に発売予定となってますので、楽しみですねぇ。

さて、あらすじ。
前回で仲間であったベアトリクスの行方を捜すため、頑固でまわりくどい性格の主人公<キーリ>と面倒くさがりで大人げない不死人<ハーヴェイ>、そしてラジオに取り憑いている<兵長>の3人の旅路をえがいた作品です。
今回の舞台はウエスタベリ。そこで興行団のシマンと出会い、居候させてもらうことになりました。
ウエスタベリは丁度植民祭の時期。その裏で様々な人物と出会い、キーリとハーヴェイはまた厄介ごとに振り回されていきます。

感想。
なんといいますか、今回はかなり切ないですよ。えぇ、とっても。
誰かが死ぬとか(あ、とりあえず一人います)、生死の境を彷徨うとかじゃないんですけど、「なんで?」っていう真っ直ぐな気持ちが終始よく表れている作品だと思います。
で、今回は死んだんじゃなかったの!?っていう人や、名前がついている人物などなど、新しい人が多いですね。
これは過去についてまつわる話しがたびたび出てくるのですが、そこを読むたびに「ぐっ…」と胸に迫るものがあります。

もー、私は感動して心の中で涙がちょちょぎれましたよ〜。

さて。
今回の最後は、なんだかグッときながら、優しい感じ。で一応の終わりになっています。
私は待つことが苦にならなくなってきたので平気ですが、待ち遠しいのは事実。
夏休みの慌ただしさに飲まれつつも油断はしていませんよと……。
いや、新刊が出るのは9月なんだけどね。学校始まってるしね。

そして例のごとく「あとがき」も見逃せませんよっ!
ユカコさんの身の回りの出来事が、一番作者らしい形でつづられているので、私はこれが見たくて買っている節もあります。(力説したいくらい)
毎回笑いが落ちているような気がするので、ぜひぜひあとがきも見てくださいね。

−余談−
それにしても、なんで作家さんたちのあとがきって、面白いんだろうなぁ。
なんか、「せっせと文章ばっか書いている人たちって、こんなに面白いの!?」っていうくらいに(口の悪さは勘弁してください)その偏見を覆すくらいに楽しいものばかり。
ユカコさんといい、乙一さんといい、不思議に面白い人たちばかりで、文芸界には憧れてばっかりです。

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