いつか話したことがある。
「今はめったにない経験をしたんだと思って、よかったんだって思っている」と。

夏の話しだ。
かつての私というのは、つまる話しはじかれていた。
理由は、まぁ、わかっているつもりでいる。

――だって相手が考えていることなんて、全てがわかるわけないじゃないだろう?――

以前に、チャット仲間に話した言葉だ。
「よかったんだ」
私はそう思って、その現実から逃れ失せたかっただけなんだ。
目を開けて、見ていたくなかっただけなんだ。

私は――正しかったと言えるのか?心の底から、あれは我が道を歩いたんだって、言えるのか?
…違うな。私は言えんよ。言えないさ。
言えたのなら、「うらやましい」なんて言葉、出るわけ無いだろう?

そうだな、今でも。今でも引きずっているんだろうな。
そして私も、未だにそこにぬくぬくと甘んじているんだろう。
結局私は、何もわかっちゃいないのさ。
甘くて、とんでもない甘ちゃんで、人のことなんか考えたこともないさ。
同じところで、変化も求めず、ずっとそうしていた。
たぶん、これからも。

――有りの儘で言うのなら……

「よかったと」言えるんだろうか?







あぁ、そうそう。人間ってね、希望も見つけようとするのと同時に、良かったっていうことを探すんだって。
それはね、「良かった」の言葉が、今状況を「良くなった」って認めたからなんだよ。
だからね、「良かった」っていう言葉を、たくさん言えるようにしなくちゃね。

Hinomiya’s memo
ずっと側にいるんだと…回想
目に見えているものが、全てじゃない…閉じて見えるものがある。そして、閉じてしか見えないものがある。
くだらない話し…「十年前に別れたっきり、いろいろ考えてみてた。静かになって気楽になれると思っていたのに、その後は妙に気分が落ち着かなくてね。いつも、もう一回出逢えたなら、何から話そうか。って、たくさん考えていた。でも、こうして会ったら、何から話そうか迷っているんだ。」「つもる話しもあるのにねぇ。不思議なもんね、こうして時間を共有しているだけでも、過ぎた時間を越えられるんだから。」「ハハ…。そうだな。」「しばらくすれば、昔話に花が咲くわね」
「あぁ……。ん、いるか?」「あぁ、禁煙したんだよ。昔ほど体は若くないのでね」「フフ、そうか。そうだな…」

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